自宅の改修事例について、省エネルギー性能の検討をしてみます。~改修のすすめ~ その6

省エネ改修で考えること

 省エネルギー性能を考える場合、まずは断熱性を上げること、そして、パッシブデザインにより自然エネルギーを利用すること、さらに住宅設備を高効率の設備に替えることが大事になると考えています。改修では、パッシブデザインを取り入れるのは難しい場合がありますが、高効率設備の入れ替えなどは比較的、効果も見えやすくやりやすいのではないかと思います。しかし、快適性も考えると、断熱改修等もバランス良く計画することが大事になりますので、事前のシミュレーションなどしっかり行い、計画を立てましょう。
 前回は、改修前の一次エネルギー消費量をまとめましたが、今回は改修後一次エネルギー消費量をまとめてみます。
イラスト_日差し

1.改修後の住宅設備

 改修後の主な設備について以下にまとめます。
  • 暖房設備  全館暖冷房
  • 冷房設備  全館暖冷房
  • 給湯設備  ヒートポンプ電気温水器(エコキュート)
  • 換気設備  第1種熱交換換気
  • 照明器具  LED照明
 ある程度、断熱性能を上げましたが、住宅設備も更新しました。特に給湯と暖房は、エネルギー消費の割合が大きいので、UA値、ηAC値とも値が小さくなりました。
 日本の一般的な住まいでは、暖房エネルギーと給湯エネルギーの消費が大きく、設備更新はそのあたりから優先的に検討していくのが良いと思います。実際、私の自宅改修でも計算すると暖房と給湯はもの凄いエネルギー消費量でした。知らないで生活していたことが本当に怖いです。
 最近はできるだけオープンに空間をつくり、家全体を暖冷房する住宅も増えています。しかし、空間が広がれば広がるほど、しっかりと温熱計画をしないと、快適とは言えない住まいになってしまい、ただただエネルギーを消費するだけの住まいになってしまいます。何度も言っていますが、事前のシミュレーションをしっかりしましょう。
 それでは、改修後の一次エネルギー消費量を見ていきましょう。

2.改修後の一次エネルギー消費量

 改修後の一次エネルギー消費量は、以下の結果になりました。

一次エネルギー消費量計算結果
 計算すると、一次エネルギー消費量「167.6GJ」が基準値で、実際の試算値は「104.8GJ」となりました。基準値からの削減率は37%です。改修前にエネルギー消費量の大きかった給湯と暖房は随分削減できています。それでも、暖房のエネルギー消費量はまだまだ大きいと感じています。さらに削減をしようとすると、一つは「もっと断熱性能を上げること」、もう一つは、「冬の日射をたくさん取得できるように設計すること」で冬の暖房エネルギーを削減できます。冬の日射取得はおそらく、皆さんが思っている以上に重要です。
 試算されている光熱費を見ても随分と削減できていることが分かりました。こうやって、外皮計算や一次エネルギー消費量の計算をしてみると自分の住まいがどのようなエネルギーで多く消費しているかが推計できるため、改修の計画は勿論のこと、新築でも事前に大まかなトータルコストを検討できるので、是非、住まいのご計画時にはしっかりシミュレーションをしましょう。
(※試算された金額は、試算された一次エネルギー消費量に単純に単価を掛けて計算されているため、実際の電気料金とは違いますので、ご注意ください。)
 何度も言いますが、これから住まいの改修を考えたい方、また新築で住まいを考える方も、是非、外皮計算をしてもらいましょう。なんとなくではなく、根拠のある住まいづくりを考えてください。
設計図

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