一次エネルギー消費量
省エネルギー性能を考えるとき、一次エネルギー消費量を計算する必要があります。一次エネルギーというのは、石油や天然ガス、石炭、水力など自然から得られるエネルギーのことをいいます。電力や都市ガスなどは一次エネルギーを転換・加工したものであるため、二次エネルギーといわれています。 電力は身近なエネルギーですが、発電して電力を得るために他の二次エネルギーより多くのエネルギーが必要になります。しかし、ヒートポンプの技術により、通常得られる電力で3倍、4倍と効率よくエネルギーを使えるため、省エネルギーには有効になります。ですから、ヒートポンプを用いない給湯設備や暖房設備は、省エネルギー性能を考える上では注意が必要です。 住宅では、特に断熱性能が注目されますが、断熱性能をある程度上げてしまうと、それ以上断熱性能を上げても一次エネルギー消費量は思ったほど減りません。一次エネルギー消費量を減らすには、設備計画が重要になります。断熱性能と省エネ性能はそれぞれの検討が必要になります。コストに大きく関わりますので、イニシャルコストとランニングコストをトータルで検討したうえで、仕様を決定しましょう。
1.光熱費を考える
日々の生活では、やはり光熱費は気になるところではないでしょうか?電気料金はこれから先、値上がりしていくことが予想されており、再エネ賦課金というものも加算され、家計の負担になることが目に見えています。これから、如何にエネルギー消費を抑えるかということを考えないと、生活が苦しくなってきます。住宅は取得価格が高額なため、建ててしまうと改修するのも大変なので、建てる前にしっかり検討してほしいものだと思います。 さて、今回は一次エネルギー消費量についてまとめますが、一次エネルギー消費量の計算は専用のWEBプログラムで行います。(今回は、自立循環型住宅の推計プログラムを使用しています。) 改修前と改修後の外皮計算を元に、設備等の入力をしていくと一次エネルギー消費量が計算されます。自立循環型住宅の推計プログラムでは、実際の状況に近づけた計算ができ、いろいろ数値を変更すると発見できることもあり、面白いです。 また、エネルギー消費量を光熱費に換算できるので、比較が分かりやすいと思います。(単純に単価を掛けて計算されているので、実際の光熱費とは合いません。)
2.改修前の住宅設備
一次エネルギー消費量を計算するためには、外皮性能の数値と合わせてどういう設備を使用するかということが重要です。まず、改修前の主な設備について以下にまとめます。
- 暖房設備 蓄熱暖房機 + 各室エアコン
- 冷房設備 各室エアコン
- 給湯設備 電気温水器
- 換気設備 第3種換気
- 照明器具 蛍光灯一部白熱灯
新築当初は、深夜電力が安く、電力会社も深夜電力をセットにした電気料金を割安なプランを提案していました。「蓄熱暖房機」と「電気温水器」は、今では絶対にお勧めしませんが、以前はよく導入されており、自宅でも使用していました。 この内容で、一次エネルギー消費量を計算してみると、あまりにもひどい結果になりました。
ガソリンの高騰が続き、電気・ガス料金も値上げ!エネルギー消費の少ない住まいづくりを考えましょう。
最近、ニュースや新聞でガソリンの高騰がよく取り上げられています。ガソリンが160円/Lを超え、7年ぶりに高値を更新しています。ガソリンだけではなく、エネルギー資源が価格上昇しており、家庭の電気料金やガス料金にも大きく響いてきます。
電気料金やガス料金の値上げが続いています。
3.改修前の一次エネルギー消費量
WEBプログラムにより計算された結果は、以下の通りです。
計算すると、一次エネルギー消費量「152.3GJ」が基準値でした。それに対し、実際の試算値は「261.6GJ」。なんと、基準値の1.7倍以上ものエネルギーを今まで消費していたことが分かりました。さらに、試算されている光熱費を見て、さらに愕然としました。給湯で年間「176,691円」、暖房では年間「477,737円」と目を疑う金額が出てきました。実際には、深夜電力の利用や料金プランによって、年間電気料金を支払っていたわけではありませんが、無駄にエネルギーを消費していたことが、今になってはっきりと自覚できました。
(※試算された金額は、試算された一次エネルギー消費量に単純に単価を掛けて計算されているため、実際の電気料金とは違いますので、ご注意ください。)
次回は、改修後の一次エネルギー消費量についてまとめていきたいと思います。もし興味がおありでしたら、ご覧ください。コメント等もあれば、是非お願いします。
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