改修後の外皮性能
改修後の外皮性能がどう変わったのかを計算しました。本来なら、改修前にこういった性能検討が必要なのですが、改修当時忙しいことを理由に検討していません。今ではとても後悔しています。しっかりした根拠があっての工事だと思いますので、これから改修を検討される方は、詳細な計算をしてくれる設計者に設計してもらうことをお薦めします。 改修前の外皮性能は、「UA値 = 0.71」、「ηAC値 = 1.6」という結果でした。数値的に見れば、等級4相当の基準をクリアしていますが、決して快適ではありませんでした。 改修後、外皮性能はどうなったのか?これから改修内容と改修後の外皮計算の結果をまとめます。
1.改修後の外皮仕様
既存の状態によって改修方法はいろいろ考えられますが、今回の改修では元々あった断熱材等を利用して改修を行いました。断熱材の仕様によっては、年代が比較的新しくても再利用せず、新しいものを入れ替えなければいけない場合も考えられますので、しっかりと設計者に検討してもらいましょう。(そういう検討をしてくれる設計者を選びましょう。) では、改修後の外皮仕様を以下にまとめます。
- 床 → 既存フェノール系断熱材 厚さ40㎜ +
+現場発泡ウレタンフォーム 厚さ60㎜
- 壁 → 既存硬質ウレタンフォーム2種1号 厚さ50㎜充填
+現場発泡ウレタンフォーム 厚さ55㎜
- 天井→ 既存ロックウール撤去、屋根垂木下に
現場発泡ウレタンフォーム 厚さ160㎜
- 窓 → 既存アルミ樹脂複合サッシ Low-Eペアガラス
内窓 樹脂サッシ ペアガラス
今回は、外壁、窓をそのままにして、内部のみの改修としました。外壁の状態によっては、外壁を改修したほうが良い場合もありますので、状況に合わせた計画が大事になってきます。
2.外皮計算結果
改修後の外皮計算を改修前同様にしてみました。結果は、
- UA値 = 0.71 ⇒ 0.51
- ηAC値 = 1.6 ⇒ 1.3
UA値、ηAC値とも値が小さくなりました。UA値に関しては勝手に0.5を切るかなと思っていましたが、残念ながら思うようにはなっていませんでした。数値だけ見れば、小さくなっているので性能は良くなっているのですが、実際、UA値、ηAC値の数値だけ見ても、全体の平均値のため、良いのか悪いのかは判断しにくいのです。 それでは、次に各部位ごとに数値を確認していきます。
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最近は、住宅の断熱性能も少しずつ上がってきているように思いますが、暖冷房は間けつ運転(人がいるときに稼働し、いない時は停止する)が多く、まだまだ日本の住宅の温熱環境は良くないと感じています。間けつ運転では暖房室と非暖房室での温度差が大きく、トイレやお風呂に移動する際に急激な温度変化があり、体に負担が大きい環境になって
3.各部位での熱損失
それでは、各部位での熱損失(q値)です。しっかりと計算して改修計画をすることで、効率よく改修ができます。性能とコストのバランスも検討しながら、適切な改修を計画しましょう。
- 天井・屋根 44.2 ⇒ 29.2[W/K]
- 壁 95.3 ⇒ 81.2[W/K]
- 床 28.7 ⇒ 22.3[W/K]
- 窓 99.6 ⇒ 71.0[W/K]
- 土間 22.8 ⇒ 14.5[W/K]
上記の数値を確認すると、元々、壁と窓からの熱損失が大きかったのですが、思ったほど小さくできませんでした。壁については、外壁面積も増えているため、熱損失が思うほど小さくならず、構造材の厚みの中で断熱補強をするには限界があることが分かりました。窓の方はペアガラスの内窓を設置したのですが、元々の建物が窓が多くあり、初期段階の計画にも問題があったのだと反省しています。 しっかり計算をして、これだけの数値を出しただけでも、いろいろ検討ができます。本来なら新築計画時からしっかり計算して計画するべきですが、改修計画時でも改修前後の比較をして、最適な改修計画を見つけることが大切だとつくづく感じました。
何度も言いますが、これから住まいの改修を考えたい方、また新築で住まいを考える方も、是非、外皮計算をしてもらいましょう。なんとなくではなく、根拠のある住まいづくりを考えてください。
次回は、一次エネルギー消費量についてまとめていきたいと思います。もし興味がおありでしたら、ご覧ください。コメント等もあれば、是非お願いします。
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