自立循環型住宅の設計に有効な要素技術

目次

A.自然エネルギー活用技術

 自然風や太陽熱、太陽光などの自然エネルギーを化石エネルギーに代えて活用する技術

01 自然風の利用

 夏期夜間や中間期に外気を取り入れ、室内を涼しく保つことができ、冷房エネルギーの削減が期待できます。しかし、最近の夏は熱帯夜も多く、限られた期間だけかもしれません。また、住まい手に花粉症などの持病がある場合は、注意が必要です。
 自然風の利用は立地に影響されることも多く、設計者にとっては非常に設計が難しい項目です。窓の配置は、日射の取り入れや遮熱にも関わりますので、自然風の利用だけを重視するのは危険です。トータル的にバランス良く設計したいものだと思います。
イラスト_風

02 昼光利用

 昼間、太陽の光を室内に取り入れ、人工照明の利用を減らすことができ、照明エネルギーの削減が期待できます。昼光利用は立地によるところも大きいですが、建物配置や窓の配置が大きくかかわってきます。こちらも日射の取り入れや遮熱が関わりますので、バランスの良い設計が必要です。
イラスト_日差し

03 太陽光発電

 日中に太陽光で発電を行い、電力を自己生産し、消費電力の削減が期待できます。太陽光発電は随分昔から比べるとイニシャルコストが下がり、導入しやすくなりました。再生可能なエネルギーを利用することは、設計者としてもこれからの課題だと思います。太陽光発電の設置に関しては注意してください。富山などは雪国ですので、発電量が落ちたり、落雪の注意が必要です。
 基本的には、断熱や日射の計画をしっかりした上で、太陽光発電の導入を検討してください。せっかく太陽光で発電しても、建物性能が悪ければ、エネルギーが多く使われ、何の意味もありません。
太陽光発電

04 日射熱の利用

 冬期に開口部から取得した日射熱は暖房に利用でき、暖房エネルギーの削減が期待できます。夏の日射は建物に入れたくないですが、冬の日射は積極的に建物に取り入れたいものです。建物の配置や窓の配置、日除けの計画をしっかりすることにより、夏の日射を遮り、冬の日射を取得することは、エネルギー削減にはとても有効です。
 日射熱利用のなかで、「蓄熱」というものもありますが、こちらは非常に設計が難しい項目です。まずは、日射の取得と遮熱について、しっかり計画しましょう。
イラスト_縁側

05 屋根空気集熱式ソーラーシステム

 太陽熱で暖められた暖気を暖房や給湯に利用ができ、暖房エネルギーや給湯エネルギーの削減が期待できます。屋根を板金で葺き、ガラスを設置するなどして屋根面で空気を暖め、その空気を床下に運び暖房したり、給湯機へ運びその熱を利用し水をお湯にすることができ、とても面白いシステムだと思います。富山では雪が降りますので、ほぼ暖房が使えず、メリットが半減します。太平洋側など雪が積もらなければ、とてもメリットのあるシステムではないかと思います。

06 太陽熱給湯

 太陽熱を利用した給湯システムを導入することにより、給湯エネルギーの削減が期待できます。一般の方には、「太陽光」発電と「太陽熱」給湯は、太陽を利用しているので区別はつきにくいと思いますが、仕組みが全く違います。太陽熱給湯は太陽熱で水をお湯にするシステムで、太陽光発電に比べ、エネルギー効率が良いと言われています。
 住宅におけるエネルギー消費は、給湯エネルギーが全体の約28%も占めており、給湯に再生可能なエネルギーを利用することはとても有効だと思います。
葉_イラスト
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エコマーク4

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